一度削った歯は、二度と元には戻りません。また、歯を削って詰めた場所から悪くなりやすいので、むし歯の治療では、できるだけ削らない最小限の治療を心がけています。そして治療後は、定期的な検診とメンテナンスで予防を徹底し、お口の中の健康を維持していただくようにリードしていきます。
一般歯科
できるだけ削らないためにむし歯診断器を活用しています
感染した部分だけを最小限削るために、当院ではむし歯診断器(診断用レーザー・ダイアグノデント)を取り入れ、重度のむし歯にはう蝕検知薬も使い、慎重に削る部分を特定しています。また、ごく初期のむし歯も見落とさず確実に発見するためにも、ダイアグノデントを活用しています。
ダイアグノデントでの診断
1.プラーク除去・歯面の乾燥
2.診査・診断(ダイアグノデントで歯面の状態を確認)
測定値1〜14 | 特に処置の必要がない |
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測定値15〜20 | 予防処置の実施が勧められる |
測定値21〜30 | 予防処置または保存修復が勧められる |
測定値31以上 | 保存修復および予防処置を行う |
痛みと負担を軽減した治療を心がけています
麻酔や処置にあたっては、患者さまの感じる痛みをできるだけ軽減するように心がけ、「むし歯治療は痛い」というイメージを払拭したいと考えています。ART(非侵襲的修復治療)テクニックなど、患者さまの負担の少ない新しい治療を積極的に取り入れています。
ART(非侵襲的修復治療)テクニックとは、ドリルなどの機械で歯を大きく削らず、むし歯菌に感染して軟化した歯質だけを取り除き、むし歯の進行を阻害する作用のあるグラスアイオノマーセメントを充填する治療です。小さいお子さまや、歯を削る機械音が苦手な方におすすめの治療法です。
進行したむし歯にはMTA治療を実施
歯髄近くまで進行した重度のむし歯は、刺激により炎症を起こしやすくなるため、歯髄を保存する処置(覆髄処置)が必要になります。MTA治療とは、生体親和性の高いケイ酸カルシウムを主成分とする薬剤で歯髄を保存する治療で、できるだけ歯髄を残し歯を守るために行う治療です。
むし歯の進行度と治療
初期むし歯(Co・要観察歯)
歯のごく表面が感染している状態です。痛みなどはなく、定期検診時に診断用レーザーで確認して発見できるものです。歯を削ったりすることはなく、メンテナンスで進行を防ぐことができます。
エナメルう蝕(C1)
歯の表面に細菌が侵入して穴が開いた状態ですが、まだ痛みを伴う自覚症状はほとんどありません。ここまで進行すると、もう再石灰化はほとんど期待できませんので、穴が小さいうちに治療することが重要です。
象牙質う蝕(C2)
象牙質まで細菌が侵入した状態です。むし歯は中で大きく広がり、冷たい水や風がしみるようになります。麻酔をして感染部分を削り、詰め物をする治療を行います。
神経まで達したむし歯(C3)
神経まで細菌が侵入した状態です。激しい痛みを感じることもあります。放っておくと、熱い物がしみたりズキズキと痛み出します。これが歯髄炎です。感染部分を削り、根管治療を行うことが多くなります。
残痕状態のむし歯(C4)
歯が崩れて根っこだけが残ってしまった状態です。歯髄炎を放置すると、やがてその痛みはなくなりますが、それは治ったのではなく神経が死んでしまって感じなくなっているだけの状態です。さらに放置すると、根尖病巣(骨の中まで細菌が侵入し、根の先に細菌と膿が溜まる状態)に進行してしまうことがあります。膿の量が増えると激しい痛みが起こり、いったん根の先に細菌が侵入すると完全に取り除くことは不可能で、再発の可能性があります。
専門医の連携による、多角的な視点からの知覚過敏治療
知覚過敏は、正式には象牙質知覚過敏症といいます。特にむし歯になっているわけでもないのに冷たいものがしみたり、歯磨きや甘い物、果物などでしみることがあります。知覚過敏症の原因にはいろいろな要因が考えられますので、当グループでは咬合治療や口腔外科など各分野の専門医が意見交換をしながら、原因を慎重に見極めて適切な治療を行います。
最も多いケースとしては、刺激物が象牙細管を通って、歯髄(神経)に伝わることが考えられます。本来、象牙細管は口の中に入ったものを歯髄に伝えられるほど太い管ではありませんが、何らかの理由で広がり、口の中で露出してしまった場合にこのようなことが起こります。この場合には、知覚過敏を抑制する薬(ディセンシタイザー)などで治療します。